1979年(昭和54年)製冷蔵庫

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お客さん宅の冷蔵庫です。

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今やテレビにも、こんなシールは無いですが、この当時は冷蔵庫にも貼ってあったんですね。
昭和54年…オッサンである私が小学校2年生だった頃です。
鉄道は(田舎なので)機関車が牽く客車の汽車なんか当たり前だった時代の頃。
ちょうど、10ch系(現在のデジタル5)で「ドラえもん」が放送始まった頃です。

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いつの間にかな無くなってしまった背面の網。廃品のはバーベキューに重宝しま…え?

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この日は数日前のウダル様な暑さでしたが(仕事中気持ち悪くなった)氷が出来て現役です。
(って言うか仮に故障にしても冷蔵庫は圧倒的に冷凍室より冷蔵室の不具合が多いんですけど)

この頃の冷媒はホンモノのフロンなので冷凍性能はイイです。
エアコンみたいに配管に継ぎ手がないので冷えが悪くなるケースも少ないですが
基本の性能が高ければ、その後性能落ちをしても、長く持つ訳で…

この氷は頂いたので頬張りながら仕事をしていました。
特に不具合もなく普通に動いています。使用されてたのは老夫婦で
子供はとっくに独立して孫が居る様な世代の方ですから容量が足りないって訳でもない。
(町場に住んでるので纏め買いの必要もないし。)

「普通に動いてるのに、どうしてまた買い替えされたんですか?」と聞くと
「私らと同じで古くなってきたので、いつ何があるか?分からないから…そんな時何となく…」だそうです。

まぁ確かに昭和54年製だったら、同世代の車だったら「クラシック」の分類ですしね。
その後続いてお客さんは「私らが寿命を迎えるまで、今度のは保ってくれるとイイなぁ」と笑われてました。

それに対しての返事に困ったのは、目の前に居る「お客さんの死」に絡む内容だからではなく
今の家電製品なんて、ここまで保たないですよ…なんて言えなかったから。

「丈夫で壊れない日本製品の品質」は、昭和末期…平成初期で終わってる気がします。
それより後の物って10年保たないんじゃないかなぁ…と言う気が

下手をしたら配管腐食でガスが漏れない限りは(海沿い等の地区)コッチの方が保ったりしてね。
冷蔵庫のトラブルはドアのパッキンが始発点の場合が殆どですが
昭和54年のパッキンの密着が保たれて霜1つ出来てないのは凄い事だと思います。

(以下、このお客さんに対しての文句では無いのは理解してください。)
このお客さんの様な「私の様な世代には、まだ理解出来ない色々な考えの下での理由」みたいな
半ば正当な理由なのは除くとして

単に「古くなったから」(ってもコレより新しい)とか「新しいのが欲しくなったから」なんて人も多いです。
そして、そう言う人が居るからこそ、私の仕事は成り立ってる訳ですが…
(当然修理もしますが業界的には金にならないですから)

先日、車の話を「みんカラ」で書いて、こちらに限定公開で移植しましが、
車同様に家電も同様で「まだまだ使える物を如何に買い替えさせるか?」なんてのの代表格です。

本当に?本当は、私は、そう言う流れが大嫌い。
お客さんの前で、つい「もったいないですね」なんて言う事を発してしまいそうな事が「しょっちゅう」です。

私の立場って言ったら言ったで、それは「失礼」なので、言わない様にしていますが
内心は別の所だし、心の中では葛藤しています。

そう言う「業界のからくり」に気付いた頃には、簡単に転職出来る年齢でも無くなってましたが
今でも「こんなんでイイのかよ?この業界…」と疑問に思い苦しんでたりします。

もう少し、若い頃に気付くべきでしたが、実際仕事に就いてみないと見えない部分ですからね。
(他人の家の中の家電の買い替えサイクルや販売手法なんぞ、普通関係なければ知りませんし)

少し前の政府の「家電エコポイント」では、本当に数年前に買った物が次々買い替えられました。
その頃かな?何か私の中で、この業界に対して決定的に自分の中での見え方が変わってしまったと言うか
私の考えとは逆方向の業界と気付いてしまい…日々違和感を募らせてます。
と言うか「経済」とか「商業」って事に人間のエゴを感じ嫌悪感すら芽生えてきました。

…まぁ、こんな違和感だの疑問点だの…思う場所が違うだけで、どんな仕事だって「同じ様にある」訳で
こんな事で仕事を放棄してる様では、どこに行っても勤まらないのも分かっています。

それが嫌なら、出世して大会社の社長にでもなるしかない。
(子会社社長では上の言いなりになるしかない為であり肩書きとか金を必要以上に欲しいって意味ではない)

でも仮に、そう言う希望を持って出世に頑張ってるウチに
周りに飲まれ、仮に、そう言う立場になったら、すっかり忘れて自分の私利私欲を追うもんなんでしょう。
世の中には、そう言う手本(社長)が沢山いるからこそ、今の「この世の中」なんだろうしね。